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涼しさや目を閉じて聞く里訛り

🎐俳句の旅
「涼しさや目を閉じて聞く里訛り」
山谷俳句会から抜粋

山谷俳句会の句集で出会い、深く心に残った一句です。読み終えた瞬間、故郷を離れ、さまざまな事情を抱えながら東京で暮らす人の姿が自然と浮かびました。言葉には、その土地の風景や家族との記憶まで宿るものなのだと改めて感じさせられます。一読しただけで胸の奥に静かな余韻が広がる、忘れがたい作品です。

以下、AIによる鑑賞です。
「涼しさや」は、夏の暑さの中でふと感じる清涼感を表す季語ですが、この句における「涼しさ」は風や木陰だけによるものではない。「目を閉じて聞く里訛り」という表現によって、耳に届いた故郷の言葉そのものが、心をやさしく潤す涼風となっている。

作者がこの句を詠んだ場所はJR上野駅。東北や北関東をはじめ、多くの人々が集団就職や出稼ぎで上京した時代、上野駅は故郷への玄関口であり、出会いと別れを繰り返した特別な場所だった。その雑踏の中で偶然耳にした懐かしい訛りは、帰りたくても帰れない事情を抱えながら働く人の胸に深く響いたのだろう。

「目を閉じて」とあることで、都会の喧騒は一瞬消え去り、耳だけが故郷へ帰っていく。身体は東京にありながら、心は山や川、家族の待つ故郷へと静かに戻っていくのである。

この句の「涼しさ」は、気温の変化ではなく、郷愁に触れた心が安らぐ瞬間の清らかさを表しているとも読める。都会の片隅でふと耳にした一つの訛りが、遠く離れた故郷との絆を呼び覚ます。その繊細な心の動きを、余計な説明を加えずに描き切った、味わい深い一句である。